よみたい万葉集 対談 【前編】歌を身近に感じるために

5月22日(金)から「よみたい万葉集出版記念・歌をいろどる原画展」がはじまります。

1300年前に編纂された万葉集。
一般的にはなかなか取っ付きにくいイメージがありますよね。
そこで、著者の3人をSo-Raにお迎えして、万葉集の魅力をたっぷりと語ってもらいました。

左から、So-Raでも展示をして下さったことのあるイラストレーターの松岡文さん
「よみたい万葉集」のイラストを担当された絵本作家・イラストレーターのまつしたゆうりさん
大学で日本史や文化遺産学を学ばれている森花絵さんです。

 

01.「よみたい万葉集」のはじまり

「よみたい万葉集」は物知り鹿先生と、万葉集ビギナーの鳥子ちゃんの対談が軸になっています。
鹿先生は監修の村田先生、鳥子ちゃんは著者の3人のことです。

─── 先ずは「よみたい万葉集」の本が生まれたきっかけを

ゆうり:もともと3人とも古典には興味があって、古事記が好きな私と花ちゃんを、あやちゃんが繋げてくれたんです。

あや:出版社から、村田先生の著書で初心者向けの万葉集の本の企画あって。
でも、先生は万葉集を研究しつくしていて面白いよりも苦しいって(笑)

───村田先生は古典の世界の中に生きているような人ですね。

あや:毎日が研究の人生!!だから全然進まなくって。。
企画自体がなくなりそうやーって聞いて、いやや!じゃあ私が企画する!
万葉集、そんな詳しくないけど、ゆうりちゃんに相談して。
で、最終的にゆうりちゃんが企画書をつくってくれました。

───どんな企画書?

ゆうり:有名な人の歌ばかりじゃなく、作者未詳でも面白い歌をたくさん取り上げようと。
当時の四季の感覚や文化、花鳥の種類や様子も分かりやすく伝えたと思いました。
飽きないように、途中にコラムや新聞を挟むようにしたり。。

───鹿先生(村田先生)と鳥子ちゃんの対談形式になったのは?

あや:村田先生が楽しい人なので、編集者さんからの提案でした。
それで最初はもっと、関西っぽくボケとツッコミや!と言われて、、、
 
ゆうり:どんな劇作家やねん、みたいな(笑)
 
あや:あんまりボケ、ツッコミに寄り過ぎると内容が無くなるので。。
編集者さんもそれは納得してくれはって、これくらいのオチで良いよって(笑)

 

02.万葉集は恋の歌だけではない、たくさんのテーマがあります

万葉集と言えば一般的には”恋の歌”が有名だそうです。
でも20巻からなる万葉集にはたくさんのテーマの歌が盛り込まれています。
当時の人にとって「歌」とはどんなものだったのでしょう。

───(歌は)もともと何を目的に詠まれてたのでしょう?

ゆうり:一番最初は恋文、、ようするにナンパだと思います(笑)
ナンパの時に良い言葉を言えないと女の子がひっかかってこない。
女の子もいかにうまく返すか、それが歌の始まりだった。

はな:最初の万葉集の歌って、天皇が、かわいい女の子に名前を教えてくれよ~みたいなので。

───男女のコミュニケーションやったんですね(笑)
でもなんで歌で伝えたんでしょうね。

あや:普通に生活していたら、求婚ってあるじゃないですか。
それのやり方が、昔って言葉がきっと今ほどなかったかもしれないし、それで歌でのやりとりが、、

ゆうり:言葉よりも先に、歌があったんじゃないのか。という話もあるんですよ。

───もうミュージカルみたいですね。

あや:日常より、大げさに出来るじゃないですか。
恥ずかしくなく、お前愛してるぜ的な(笑)
歌にした方が言いやすい、ような。

ゆうり:歌い方で上手い下手もあっただろうから、歌も上手くないと振られちゃうかもね(笑)

───当時の人にとって、歌ってなんだったんでしょうね。

ゆうり:一番大事な事を伝えるのに使ってたんじゃないのかな、、

あや:メールと近いような、でもちょっと違うな、、、

はな:Twitterみたいじゃないですか。
限られた文字数の中で、どれだけ自分の生活やイベントがあったり、
気持ちの大きな揺れがあったときに、ぼそっと上手い事まとめて、で発信して。
それが上手かったら、みんながどんどん いいね!して広まっていったり、みたいな。

───あの歌いいね!みたいな感じですね(笑)
公にする歌ばかりやったんかな?それとも日記的みたいにだれでも、、

あや:そういう歌もあります。後期になるとふえたかな。
自分自身のためだけに詠まれた、、日記みたいな。

ゆうり:ポエム書いちゃうみたいな。

───歌人はポエマーやね(笑)

ゆうり:そう。ポエマーたちのつぶやきを読む覚悟で。(笑)

 

03.当時の人の感覚を知ること

当時の人との感覚や表現の違いが、歌との距離を遠ざけているようです。
例えば「死」の表現や、「夢」の捉え方について。

あや:万葉集では「死」という言葉を使わないんですよね。
だから歌だけ読んだら「恋の歌」みたいに思ってしまう。

ゆうり:例えば「山に行く」が死を意味するんですけど、言われてもピンと来ないし、、

───当時の人の感覚なんでしょうね、1300年の隔たりをかんじます。

ゆうり:おまじないとか夢も、習慣とか風習がちがいすぎてると分からない。
気持ちだけで読んだ歌とか、旅人の歌とかはわかりやすいですけどね。

あや:わからないね~、、でも全然違うのも面白かったりします。
夢で会いに来てくれたら、自分の事想ってくれてるんだ、みたいなの(笑)

はな:現代は、自分が想っているから夢に出るって考えですよね。
昔の人は、「自分の事を想ってくれてるから、今朝君を見たんだよ」って。

ゆうり:すごい勘違いしてる(笑)
どこをどうしたらそう思えたのか、、すごいポジティブ!

───結構幸せだったんですね、、だけどトラブルも多そうです!

ゆうり:だから、なんで会いに来てくれないの!って怒られるの。
夢に出てこないから、想ってないんでしょ!って難癖つけられるわけですよね。

───妄想力のレベルが高すぎる、、、

あや:考える時間いっぱいあるから、、

ゆうり:だからギリシャ人とか空をみてあれだけ星座を考えられるんだよ。

あやはな:あーーそっかー(笑)

ゆうり:だって、絶対見えないもん(笑)

>>つづきます。
※対談の臨場感をお伝えする為、出来るだけ内容を修正せず記載しています。
本来の万葉集の内容と異なる点がありますが、3人の著者の個性を感じてもらえたらと思ってます。
尚、 So-Raの対談記事はすべて、So-Ra店主の責任編集でございます!
 

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