「東京日和」竹中直人監督

写真は12年前の女店主。
古いフィルム一眼レフカメラのPEN Fで撮影しました。

このカメラ、そこそこいいお値段だったのに、直ぐにシャッターが壊れてしまって、男店主が意地になって自力でなんとか修理しました。
その一年後、夫婦二人でアンティークのカメラ屋をはじめることになります。

店舗は持たず、当時はまだ珍しかったオンラインショップに絞ったのが良かったのか、ありがたいことに、直ぐにお店は軌道に乗り、夜遅くまでカメラの修理に明け暮れる毎日でした。
趣味が高じて仕事になった、ラッキーだったなーと今でも思います。
そこからSo-Raにたどり着くまでには、また紆余曲折あるのですが、それはまたいつか。

で、前置きが長くなりましたが、店主が写真にはまるきっかけになったのが竹中直人が監督、主演の「東京日和」という映画です。

とにかく美しくて、センチメンタルな作品です。
今でも予告編を見ただけで泣けちゃうし、大貫妙子の音楽も素晴らしい◎

ストーリーは写真家アラーキーと早逝した奥さんとの私的エッセイを原作にしてますが、ほぼ竹中直人の創作です。
出来るだけ現実的なシーンを排し、夫婦のどこか非日常的な暮らしを描いています。
どのエピソードも素敵ですが、特に雨の中、ピアノのカタチをした大きな石でモーツァルトを連弾するシーンが印象的です。
普段、感情を表に出さない妻が、はじめて生き生きとした表情を見せます。
あれは映画史に残したいくらい美しいシーンだと思う。

現実離れした、美しくも儚さ漂う妻を中山美穂が好演しています。
この人、本当に凄い女優さんだと思うんですが、なんか最近パッとしないですよね。

なにより素敵なのが、ラブストーリーなのに「愛してる」という台詞が一回も出てこないこと。
近くで、浮世離れした妻を見守りつづける夫の眼差しが淡々と描かれるのです。
それは写真を撮る行為にも、とても似ていると思った。
東京日和を見たら、ぜったい大切な人を写真に撮りたくなりますよ。

とにかくこの映画はTUTAYAとかではなかなか見かけないのですが、もう買ってでも見てくれというくらい、全力でオススメします。
写真を撮る人は必ず見るように(笑)よかったら店主のDVD貸します。


 

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